脳卒中後のリハビリで、麻痺した足より先に整えるべきものがある

query_builder 2026/04/08
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脳卒中後のリハビリで、麻痺した足より先に整えるべきものがある


脳卒中後の片麻痺リハビリで真っ先に取り組むべきは、麻痺した足を「動かせるようにする」ことではありません。「支えられるようにする」こと、そして多くの人が見落としている「首の機能」を整えることが、歩行の安定に向けた最初の関門です。





橋本・相模原エリアを中心に、退院後の脳卒中リハビリを継続されている方やそのご家族から、こんな言葉をよく聞きます。


「つま先が引っかかって怖い」「麻痺した左足が思うように上がらない」「もっと足を動かせるように練習したい」

この焦りは、ごく自然なものです。

歩くたびにつまずきそうになる感覚は、それだけで大きな不安と疲労を生みます。


ただ、理学療法士の視点から率直にお伝えすると、「足を持ち上げる練習」を最優先にすることが、遠回りになっているケースは少なくありません。




麻痺した足に、なぜ「支える力」が先に必要なのか?


脳卒中後の歩行を安定させるとき、最初に作りたいのは「支えられる足」です。

重度の麻痺がある方でも、装具を使いながら麻痺側の足で体重を支えることは、リハビリの目標として現実的に届く範囲にあります。


一方で「好きなように足を持ち上げて動かす」能力は、麻痺の程度に大きく左右されます。


なぜ「支える」が先なのか、歩行の動作から考えてみてください。

片足に体重をかける時間は、通常の歩行で2〜3秒程度です。この数秒、麻痺側の足が重力に抗してしっかり支えられるかどうかが、両足のバランスを決める根本になります。

「足を高く上げる能力」の前に、「地面を押し返す能力」が土台として必要なのです。


患者さんがつま先の引っかかりに強い危機感を持つのはわかります。

でもその解決策が「足の持ち上げ練習」だけになると、支える土台なしに動きだけを磨こうとすることになり、バランスが不安定なままになりがちです。




見落とされがちな「首」の問題が歩行を乱している


麻痺側の足を支えようとしても、なぜか体がまっすぐにならない。杖に力が入りすぎてしまう。歩くとやたらにグラグラする——。


こうした訴えの裏に、「首の機能不全」が関わっていることがあります。


脳卒中後の首の問題は、症状として目立ちにくい分、見落とされがちです。ただ、臨床的には非常に大きな影響を及ぼしています。


発症直後から、麻痺のない側の手を無意識に首の後ろに当てたくなった、という経験を持つ方がいます。

これは首が不安定になっているサインです。首が不安定だと、脳と体はその状態を危険と判断し、首周りの筋肉を固定しようとします。


この「防御的な固定」が、歩行中に問題を起こします。


首が固まった状態で歩くと、視線を向けても体幹がついてこなくなります。また、歩行中に生じる揺れや衝撃が、本来は首が微調整してくれるはずのところ、その機能なしに直接、耳の奥にある三半規管へ届いてしまいます。


三半規管は「体がブレている」という信号を脳に送り続け、脳はさらに筋肉を緊張させて対応しようとします。

緊張が上がると動きはさらに固くなり、体はますますブレる——この悪循環が、歩行の不安定さの正体であることがあります。




「体の軸」は、体の中心ではなく外側にある


「体幹を鍛えれば安定する」「軸をしっかり保つ」という表現は、リハビリでもスポーツでもよく使われます。

ただ、理学療法士として正確にお伝えすると、「軸」は体の中心に物理的に存在しているわけではありません。


軸とは、足裏・お尻・脇腹・肋骨など、体の外側全体の皮膚や筋肉から届く感覚が脳で統合されたとき、その中心として「浮かび上がってくる」感覚です。


片麻痺の状態では、麻痺側の感覚が鈍くなっています。つまり、外枠の情報が半分欠けた状態で軸を作ろうとしている。

それが体のまっすぐ感がつかめない、バランスが崩れやすい、という状態の根本的な理由の一つです。


だから、麻痺側に感覚を入れることがとても大切になります。麻痺側を下にして横向きに寝る、麻痺側の足で体重を支える練習をする——これらは単純に見えて、「体の外枠情報を麻痺側から補う」という明確な目的を持っています。




TherapiCoが「支える足」と「首」を最優先する理由


TherapiCoでは、脳卒中後の歩行安定化に向けて、以下の順番で身体の再学習を進めます。


まず「麻痺側の足が重力に対して支えられる感覚」を育てること。

次に「首が固まらず、体の動きに自然についてこられる状態」を作ること。

そして、この土台の上に、無意識にまっすぐを保てる「定位(オリエンテーション)」の感覚が戻ってくる——この流れを、理学療法士・作業療法士が臨床推論に基づいてサポートします。


重要なのは、「意識してまっすぐにしよう」とすることではありません。

無意識の感覚レベルで「まっすぐ」が維持できる状態を、感覚入力という土台から作り上げていくことです。


歩行の安定は「頑張って足を上げる練習」ではなく、「感覚の土台を整え直すこと」から始まります。




退院後、どこでリハビリを続けるか迷っているご家族へ


脳卒中後のリハビリは、退院後も続けることに大きな意味があります。

神経可塑性——脳が経験によって変化し続ける能力——は、発症から数年が経過した後も失われてはいません。


TherapiCoでは、自費リハビリを中心に、介護保険デイサービスや障害福祉サービスとの組み合わせについてもご相談いただけます。

「自費しか選択肢がない場所」ではなく、その方の状況に合わせた関わり方を一緒に考えることができます。


「退院後にどこで続ければいいか」「通院費用や頻度はどのくらいが現実的か」など、まずはご相談だけでも歓迎しています。


橋本・相模原・町田・八王子・多摩エリアから通院されている方が多く、初回カウンセリングでは現在の生活動作の課題と、今後のリハビリの優先順位を一緒に整理します。




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TherapiCo-セラピコ-相模原

住所:神奈川県相模原市緑区橋本1丁目17−20 塚田クリニックハウス 1F

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